Meets ACCRETECH User’s Voice - 財団法人応用科学研究所 - 東京精密

インタビュー

vol.03 - 財団法人応用科学研究所

日本で初めて鉄鋼の高周波焼き入れ技術を開発する等、高い開発力を持つ応用科学研究所様に、ACCRETECH製品導入のきっかけや印象について伺いました。

  • 財団法人応用科学研究所
  • 応用科学研究所 理事長
  • 京都大学名誉教授 久保 愛三 様
  • 大正6年、京都大学工学部電気工学科青柳栄司教授が青柳研究所を創設、後に応用科学研究所となる。工学系で多方面の研究実績を上げてきたが、中でも鉄鋼の高周波誘導加熱方式による強化処理技術(高周波焼入れ)の発祥の地として、独自の技術を開発・運用している。機械部品の長寿命化・高性能化・省資源化に関する研究も行い、日本の機械工業、基盤技術の維持発展に寄与することを目指し、研究を続けている。
  • 所在地:〒606-8202. 京都府京都市左京区田中大堰町49
    http://www.rias.or.jp/indexp.php
独自の技術開発で、日本の国際競争力向上を支援

研究所の概要について教えてください。

久保:応用科学研究所は大正時代、京都大学工学部電気工学科の青柳教授がタングステンフィラメントの研究を始め、その研究所として始まりました。その後、京大の鳥飼利三郎先生が理事長をされ、鉄鋼の高周波誘導加熱方式による強化処理技術(高周波焼入れ)を日本で初めて開発しました。さらにプラズマ窒化技術に関する研究も進め、これら2つは現在、他ではやらないような難度の高いものを扱っています。そして、社会が求める新たな研究開発のため、一昨年には機械基盤研究施設を立ち上げ、CADで設計したものを製作してその場で幾何形状精度を測り、冶金学的な性質検査も同じ場所でできるようになりました。

研究所の概要について教えてください。

東京精密の測定機導入のきっかけについて教えてください。

久保:若い頃しばらくドイツにいて、帰国後Carl Zeiss社より三次元測定機を日本で販売したいから手伝ってくれと頼まれました。そのころのCarl Zeiss社の担当者に東京精密さんを紹介されて以来、親しくさせていただいております。そして機械基盤研究施設の立ち上げにあたり三次元測定機の導入が不可欠と思い、今の御社の社長とも懇意だったので、御社からCarl Zeiss社の測定機を導入させていただきました。

東京精密の測定機導入のきっかけについて教えてください。
全てを表示

東京精密の測定機について、どのような印象をお持ちですか。

久保:実際に使わせていただいて、結構満足しています。白色光干渉の測定機は、外乱の影響を受けたり非常に敏感だといった話はよく聞くのですが、東京精密さんの測定機はそれほど気難しくなく使えており、そこは大したものだと思います。 このOpt-scopeを一番よく使っているのは、事故が起こった機械部品の損傷面を見るという場面です。私の専門は機械部品、とくに歯車が潰れたときに、その原因や対策を考察することなのですが、損傷面を細かい精度で見られる測定機はなかなか難しいのですが、表面の形状を写真のように見られるという点で重宝しています。普通の写真だと、光の影響を強く受けてしまい、写真の撮り方によっては、事実と違う印象を人に与えてしまいます。しかし、Opt-scopeの場合には、オプティカルフラットからの距離を精密なマップとして測る機械なので、そういった影響は受けませんし、かなり色々なことがわかります。

東京精密の測定機について、どのような印象をお持ちですか。

測定機について不満はありますか。

久保:被験物を測れるか測れないかというのは、やってみなければわからないという点です。機械部品の形状によっては、レンズ周りがぶつかってしまって測れないといったことがあります。これは、Opt-scopeだけの問題ではなく、測定機一般に言える非常にプリミティブな問題だとは思いますが、そこをクリアできるとユーザとしてはありがたいと思います。

測定機について不満はありますか。

今後、測定機が活躍できる場面についてはどうお考えですか。

久保:鉄鋼の品質というのは、機械にとって非常に重要ですが、現在では価格面の事情で外国製など安価なものを使いたいという要請があります。そういった際に、思っていたものと実際の品質が違うことがあり、トラブルを生むこともあります。現在では、その品質に関して最適な判定手段がありません。そういった場面でOpt-scopeなどをうまく利用すると良い判断が出来るようになるのではないかと思います。実現すれば、今までとは違う分野の人が興味を持ってくれます。これは今後の課題として一緒に研究していければと思います。 私は、Opt-scopeを単なる表面粗さ測定機というよりも、精密な三次元の形状測定機というメリットを打ち出していくべきだと考えます。「粗さ」と「形状」というのは、単に表面の3D幾何学形状のどれほどの周波数成分を取るかだけの差です。そして、機械にとってはどちらかというと形状、低周波成分の方が重要です。そこを非接触で、3D立体形状として精密な寸法精度とともに見られるというのはなかなか有用なものです。

今後、測定機が活躍できる場面についてはどうお考えですか。

今後、測定機もしくは東京精密に期待することを教えてください。

久保:測定機というのは難しいもので、使う人によって要求が全く異なります。できるだけ真に近い値を求めるところもあれば、それほどの精度を必要としないところもある。難しいことですが、精度だけに限らず、様々な面で用途に合った対応をすることが大事ではないでしょうか。

今後、測定機もしくは東京精密に期待することを教えてください。
応用科学研究所の前身である財団法人 青柳研究所を創設(1917年)した青柳教授が研究した『タングステン電球(フィラメントにタングステンを使った白熱電球)。その後開発のセレン整流器、日本で初めてプラズマ窒化処理を施した、チタンバルブ。

東京精密より、対談を終えて

近年は、鉄鋼材料や各種金属材料の表面改質加工技術に加えて、金属材料の品質の新評価法の開発にも一段と注力している応用科学研究所様。長い歴史の中での研究実績はもちろんのこと、産業界への技術指導・技術移転や人材育成事業への取り組みや、任意三次元形状製作法の開発・表面処理のサーフェイスインテグリティ向上に関する研究開発の体制も整えています。他国の追い上げが激しい中、新たな戦略の推進にも積極的に取り組む姿勢で、日本のモノづくりを支えていることが感じられました。

Internet Explolerには対応しておりません。
Google chrome等モダンブラウザをご利用ください。